トピックス&コラム
 
口腔粘膜から人工培養皮膚

 口腔が未来の医療の切り札となる可能性をひめている!
一般に広範囲の熱傷患者の救命には大量の移植皮膚を必要としますが、採取可能な部位が少なく、全身を覆うだけの皮膚が採取できないことが一番の問題になります。また、屍体からの他家移植では感染症の問題や長期生着を望めないなどの多くの問題があります。
  この様な状況を解決したのが培養皮膚で、ごく少量の皮膚片から大量の皮膚を作ることができるのです。しかも自分の細胞を材料にしているので他家移植の様な免疫拒絶が起きず、永久生着が期待できると言うすぐれもの。
  ただ重症の熱傷のようなケースで、広範囲の培養皮膚が必要な時は、培養に可能な皮膚組織を採取してから完成するまでどうしても約3週間以上、と時間がかかりすぎてしまい、完成を待たずして命を落とすことも少なくありません。また、皮膚の細胞は培養を続けているとある時点で一斉に死んで角質(垢)になってしまうことがあり、こうなると移植は100%行えません。 そこで皮膚の代わりに口腔の粘膜細胞を使うことが考えられました。
  口腔粘膜は普通の状態では決して角質をつくることはなく、また重度の熱傷でも口の中は保存されていることが多いのです。さらに口腔粘膜は傷の治りが早いことからも解るように、皮膚に比べて細胞の分裂頻度が高い。この性質は細胞培養のスピードアップにつながります。つまり口腔粘膜は人工培養皮膚の材質としては絶好の性質を備えていたのです。
 口腔粘膜は試料をとり易く、採った後の傷跡も目立たないので、将来は手軽に細胞を採って自分自身の人工培養皮膚をつくって保存しておくことができるようになるかもしれません。そうなれば歳をとって老化した皮膚を自分自身の培養皮膚と取り替えて若々しい肌に戻すという特に女性にとっては夢?のような話も実現するのでは・・・

タバコと歯周病

 喫煙の多くは疾患の危険因子として取り上げられていますが、歯周病についても大きな危険因子として注目が集まっています。
 以前ニューヨーク州立大学で1426名を対象に行われた調査によると、喫煙者の口腔内の歯周病菌は非喫煙者のそれに比べて明らかに多かったと聞きます。この様な理由もあって、タバコの吸う人が歯周病にかかる危険は吸わない人の2〜9倍あるといいます。
 喫煙は血管や歯周組織に多くの障害を与えるだけでなく、白血球の免疫防御機能を狂わせ感染し易くするのです。
 その主なメカニズムは、タバコに含まれるニコチンが唾液や歯肉周囲の浸出液に直接溶解し、歯周組織や血管壁の上皮細胞の増殖を抑制します。それが長期にわたることで血流の少ない線維性の脆い組織となり、感染や機械的刺激に極端に弱くなるのです。又唾液の中にある外来の細菌や異物から口腔組織を守ってくれる白血球の食作用をも著しく低下させてしまいます。
 この様にして喫煙は重度の歯周病への引き金となるのです。
 喫煙の口腔領域に対する有害性をもっと認識しなければならないでしょう。

血液型の意外な発見

 人類最初の祖先の血液型をご存じでしょうか?それはO型です。ところが現在は4つの血液型があります。最初の人類であるO型の環境や暮らし、食生活によって新しい血液型、A型・B型・AB型が誕生したそうなのです。血液型といって真っ先に思いつくのは性格診断ですが、実はかかる病気や身体に適した食べ物も血液型によって違うようなのです。

【O型】 人類誕生から続くO型は、粗食に耐えられる丈夫な消化管を持っており、免疫力も強いのが特徴です。でも、胃酸の分泌が多いので胃炎や胃潰瘍に要注意。また甲状腺ホルモンの分泌が少ない傾向があるので、ヨードを多く含んだ魚介類を沢山とるよう心がけましょう。
【A型】 人類が農耕生活を始めるようになって初めて出現したA型は、穀物と野菜中心の食生活が適しています。消化器系が繊細にできているので加工食品はできるだけ避け自然に近いものを摂ることがよいようです。かかりやすい病気は、感染症や心臓病、糖尿病です。動物性食品の摂りすぎからくる肥満や高血圧には気を付けて!
【B型】 遊牧民として世界各地を移住し、様々な環境に適応してきたB型は、バラエティー に富んだ食事をバランスよくとることが良いようです。また、健康づくりには乳製品は欠かせないようです。4つの血液型の中で一番丈夫なB型は、バランスを崩すと自己免疫疾患や珍しい感染症にかかることもあるそうですが、生活習慣病などには極めて強く、心臓病や癌にもすばらしい抵抗力を持っているそうです。
【AB型】 A型とB型が合体してできたAB型の歴史はまだ1000年位だそうです。体質的にもそれぞれの長所・短所を受け継いでおり、消化器系は繊細で強い免疫系を備えているのですが、最大の弱点はストレスをためやすいことです。ほとんどの生活習慣病はストレスが大きなリスクになるので、いつもリラックスを心がけましょう。

 「健康」「病気」以外にも、私たちの性質やこれからの生活に必要なものを知る手がかりが、血液型にはまだまだたくさんあるようです。これからまた新しい何かが血液型別に発見されるかもしれません。それとも、来る21世紀には新しい血液型ができるかも・・・

むし歯予防ワクチン

 最近の歯科医学の世界では、虫歯を感染症とする考え方が常識になっている。感染症なので原因の細菌を取り除かない限り、虫歯に金属を詰めたり被せたりしても治ったことにならないのである。
 虫歯を引き起こす細菌は歯と歯の間、あるいは歯茎と歯の境目あたりに隠れている。炭水化物とくに砂糖を食べたとたんにこの細菌は酸を作り始め、酸は歯の表面のエナメル質を溶かす。食べるのを止めるか歯磨きで歯に付着した炭水化物を取り除いてしまうと、酸は唾液で中和され再石灰化により溶けだしたカルシウムはある程度歯に戻る。此の過程でフッ素が大きな役割を果たしているので、虫歯予防法の一つとしてフッ素の塗布が行われるのである。
 これからの歯科医療はできた虫歯を削って詰めるのではなく、虫歯ができない口の環境を作り出すことが重要で、予防戦略の切り札として”ワクチン”の開発が待たれる。
 今世界で最も関心を集めているのが、エイズワクチンの開発であるが、ワクチンで治療のできる病気には条件があって、病気の原因となる細菌やウイルスが発見されていなければならない。その意味では虫歯はストレプトコッカス・ミュータンスという原因菌が見つけられている。したがってこの菌に対する抗体が人為的に誘導できれば虫歯の発生を抑えることができるはずである。
 そこで、どのようなメカニズムで虫歯の発生を抑制しようとしているのか簡単に紹介してみよう。

T ストレプトコッカス・ミュータンスが歯の表面に付着するのを阻害する方法
U 歯周ポケットの内に存在する白血球の細菌に対する食作用を強化させる
V 抗体がストレプトコッカス・ミュータンスの代謝を阻害して酸を作るのを抑制するという方法

 これらの戦略の中で現在最も有力視されているものは、(T)の方法で、ストレプトコッカス・ミュータンスの細胞表面の接着構造に対する抗体を作って、口腔内へ細菌を接着させない方法である。
 近年アメリカのアラバマ大学で、菌表面の繊毛状の接着構造を抗体で破壊することに成功し、現時点ではマウスを使った動物実験の段階であるがヒトへの臨床応用の日も近いだろう。そうなれば「一度ワクチンを投与すれば一生虫歯にならない」という夢のようなことも起きるかもしれない。